「Salesforceの毎年の更新費用が重くのしかかっている」「使っていない人が多いのに、なぜこんなに高額なライセンス料を払い続けているのか?」
Salesforceは非常に強力なビジネスツールですが、そのライセンス費用は決して安くありません。導入から数年が経過した企業では、「誰も使っていない幽霊アカウント」や「オーバースペックなライセンスの割り当て」が放置され、数百万円単位の無駄なコストが発生しているケースが多々あります。
この記事では、Salesforce管理者(アドミニストレーター)やIT部門の責任者が今すぐ実行できる、Salesforceの無駄なライセンスを見つけ出し、運用コストを劇的に最適化するための3つのステップを徹底解説します。
コスト最適化の結論と3つの施策
Salesforceの運用コストを適正化し、無駄な支出を削るためのコアな施策は以下の3点です。
- 「幽霊アカウント」の無効化: 退職者や異動者、あるいは「過去60日間一度もログインしていないユーザー」を特定し、ライセンスを回収(無効化)する。
- ライセンスのダウングレード: 全員に高額なフルライセンス(Sales Cloud等)を付与するのをやめ、独自の業務入力しかしない部門には安価な「Salesforce Platformライセンス」等へ切り替える。
- 「とりあえず付与」の運用をやめる: 新入社員が入るたびに無条件でライセンスを追加購入するのをやめ、回収した休眠ライセンスを再利用する社内ルールを徹底する。
1. なぜSalesforceのコストは気づかぬうちに膨れ上がるのか?
コスト最適化に着手する前に、なぜ無駄なライセンスが発生してしまうのか、その「ありがちな原因」を知っておきましょう。
原因①:退職者・異動者のアカウントが放置されている
「過去の商談データが消えてしまうかもしれないから」という誤解から、退職者のアカウントをそのまま残しているケースです。
※Salesforceではユーザーを「削除」することはできませんが、**「無効化(非アクティブ化)」**すれば過去のデータは保持されたまま、ライセンスの枠だけを空ける(再利用する)ことができます。
原因②:「ログインしていないユーザー」を把握していない
「現場で使うと言われたからアカウントを発行したのに、実は数ヶ月間一度もログインしていない」というユーザーが多数存在する状態です。管理者が利用状況をモニタリングしていないと、使われないライセンスに毎月課金され続けます。
原因③:全員に「最高ランクのライセンス」を渡している
営業担当者には「Sales Cloud(商談・売上管理)」のフル機能が必要ですが、それを確認するだけの経営陣や、一部のカスタムオブジェクト(独自の入力画面)しか使わない他部署のスタッフにも、同じ高額ライセンスを付与しているケースです。
2. コストを削る!ライセンス棚卸しの「3ステップ」
それでは、実際に自社のSalesforce環境を開いて、無駄なライセンスを見つけ出しましょう。
ステップ1:「最終ログイン日時」のレポートを作成する
まずは「誰が使っていて、誰が使っていないか」を可視化します。
- 「ユーザー」オブジェクトを対象にしたレポートを作成し、**「最終ログイン日時」**を列に追加します。
- 「過去60日間(または90日間)ログインしていないユーザー」を抽出し、本当にライセンスが必要か現場のマネージャーに確認を取ります。
ステップ2:不要なユーザーを「無効化」する
利用していないユーザーが特定できたら、「設定」>「ユーザー」画面から対象者のアカウントを開き、**「有効」のチェックを外して保存(無効化)**します。
- これにより、そのユーザーが使っていたライセンス枠が1つ空き、次に新しい社員が入社した際に追加購入することなく再割り当てできるようになります。
ステップ3:次回の契約更新に向けて「余剰ライセンス」を減らす
無効化して空いたライセンス枠は、そのままにしておくと次回の年間契約更新時に「空き枠の分まで」請求されてしまいます。
- 更新時期の1〜2ヶ月前になったら、Salesforceの営業担当者に「現在〇個のライセンスが余っているので、次回の更新では契約数を〇個減らしたい」と減額の交渉(契約変更)を行います。
3. さらにコストを下げる「ライセンス種別の最適化」
単に人数を減らすだけでなく、「ライセンスの種類(グレード)」を見直すことで、1人あたりの単価を大幅に下げる高度なテクニックがあります。
| ユーザーの役割 | 最適なライセンス種別の例 | コスト感・特徴 |
| ゴリゴリの営業担当者 | Salesforce (Sales Cloud等) | 高額。商談(Opportunity)やリード(Lead)など、すべての標準機能と分析が使える。 |
| 他部署の入力担当 (独自の申請業務など) | Salesforce Platform | 安価(フルライセンスの数分の一)。商談など特定の標準オブジェクトは触れないが、カスタムオブジェクト(自社独自に作った画面)はフル活用できる。 |
| 社内コミュニケーションのみ | Chatter Free | 無料。データの閲覧・編集はできないが、社内SNS(Chatter)での会話やファイルのやり取りに参加できる。 |
「この部署は、自社で作った『経費精算オブジェクト』しか触らないな」という場合、フルライセンスからPlatformライセンスへ切り替えるだけで、大幅なコストダウンが見込めます。
まとめ:ライセンス最適化は「年1回の定期健診」である
Salesforceのライセンス費用は、放置すればするほど「チリツモ」で企業の利益を圧迫します。しかし、逆に言えば、管理者が少し現状のデータを見直すだけで、年間数十万〜数百万円のコスト削減を経営層に提示できる「最も評価されやすい業務」でもあります。
契約更新の直前になって慌てるのではなく、半年に1回、あるいは年1回は必ず「最終ログインレポート」を出力し、社内のライセンス利用状況を棚卸しする「定期健診」のルールを設けましょう。
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